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2004.03.07

左と右と太陽と

先日ひな祭りだったせいか、あちこちでお雛様の画像がUP。
私は男ばかりの家族だったので、雛飾りとは縁遠く、お内裏様とお雛様の左右の
位置には無頓着。関東風、関西風と2種類有るというのも知りませんでした。

それまでは、日本では左が偉いんだから、左側にお内裏様と信じ込んでました。
(右に出る者がないという慣用句がある様に、唐土では右が偉い様です。)

粟谷能の会blogで、明生師がひな祭りと関連して能楽での左右の由来を紹介しています。
「刀を左に佩くから左側に立つ」というのが理に適うとのこと。

同じような話で、道ですれ違うときに刀の鞘が当らないように左側通行だったというエ
ピソードを聞いたことがありますね。鞘が当れば、無用な果たし合いになりますから。

狂言も同じ能楽で、舞始めと舞い納めに左右をします。
明生師の左右が露払い、千早振るの意という説明をされていて、ハッとしました。
迂闊にも狂言の型の中で幸せ者を袖褄の仕合せ者と勘違いしてみせるものがあり、装束の袖の柄を相手によく見せるための型だと思い込んでたんですね。恥ずかしい。
今まで、小舞を舞うときに、払い清めという意識はなかったです。ゆったりとした気分で
舞い始めと舞い納めの左右をしてはいましたけど。

★ ★ ★

話を戻します。
左が偉いという感覚が左へ向く、左へ流れるという日本人の意識があるそうです。
金城学院大学:熊倉千之「日本人の感性」

熊倉先生のこの文章は示唆に富んでます。絵巻物、ニュースキャスターの並び方、
舞台の上手下手(かみてしもて)などはすぐに思いつきますが、小津の映像までそう
いう日本の伝統が影響していると指摘。うっ、としました。

魚料理まで左側を向かないと気持ち悪いという思いも、小笠原流がどうのこうのとい
うより、日本人の源流に左向きの美意識があるからなんじゃないかと思います。
(鰈(かれい)が右向いているというのは無しね)

北大名誉教授・木下眞二先生のエッセー「どうして、地図の「東南西北」は時計回り
なのに麻雀の「東南西北」は反時計回りなのか~どうして、日本では「東西南北」西
洋では「北南東西」か」
と合わせて考えると、面白いです。

左から右へ流れるのは、太陽の運行が東南西というところからじゃないかということ。
先の能楽の左右が「お祓い」の意味があるというのも、太陽の運行からなんでしょうね。多分。

(ちなみに、木下先生のパズルの問題と、そこに関連付けられている京大の稲垣耕作先生の
「情報文明の交差点~第9回 答えは一つでない」(2000/3/20)もお奨めです。)

世の中、「答えは一つでない」とだれしも口にする。では目の前に与えられた 答え以外をひねり出す訓練を、ぼくたちはしっかり積んでいるか。落とし穴が ないかを、徹底的に考える習慣があるか。それは大きな独創への一歩でもある。  型にはまった答えで満足しがちな日本が、いつもながら心配である。サビつい てしまった人と国に、いまこそ春らしい新風が必要であろう。

★ ★ ★

また、話がねじれてしまった。。。。。

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Comments

「東西南北」という言葉の経緯はどのようなものなのでしょう。禅語など「南北東西」が普通で、八卦の後半の4つの順が元かなと思います。

Posted by: Cat | 2004.03.08 01:32

南北東西が普通なのですか?
手元にある諸橋の広漢和で調べてみたのですが、
東西南北の例文は春秋左氏伝を出典にしてます。
南北東西は、熟語として載せてません。。。。
碧眼録には、東西南北も南北東西も両方使われ
ていますね。

東=春の意味で使われますから、南北を先に持っ
てくるのは例外的かと思うんですけどね。
(「十」と言う漢字を説文の説明では、一が東西
の意、|が南北の意と先に東西から触れています
しね)

TIAO(眺)さんとこなら、ヒントを与えてくれ
るかも知れません。あそこの旧暦談義はなかなか
面白かったですよ。

Posted by: | 2004.03.08 23:44

東西南北、古いんですね。「南・北」は「火・水」なので、禅宗好みなのかもしれません。TIAOさんを、訪問してみます。

Posted by: Cat | 2004.03.09 16:13

碧巌録でした。。。。

南北とか子午線は地軸に当たるので、不動の中心
のイメージがありますね。風水にしても、五行思想
にしても、極めるとなかなか理にかなっているんじゃ
ないか?と思うんですよね。ころっと変なのに騙され
ちゃうんでしょうけど。

Posted by: | 2004.03.09 21:58

TIAO(眺)のサイト名をミスタイプしていました。
管理画面で、該当部を修正。

Posted by: | 2004.03.10 22:34

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