« 万之丞(耕介)亡き後 | Main | おもかげの国 うつろいの国 »

2004.06.12

万之丞(耕介)亡き後の芸能指導

亡くなった万之丞(耕介)の能力を如何なく発揮したのは、芸能指導や監修、考証。
奇しくも日枝神社の山王祭は今日明日が見所。彼が率いる大田楽も明日ありま
す。彼の命日が山王祭と重なるのは神の成せる業なのか。

感傷はさておいて、万之丞(耕介)死去で今一番頭を抱えているのは、時代物
のドラマや映画、舞台などのプロデューサーたちじゃないだろうか。
実際、室町・戦国以前の芸能を演技に使う場合、今の芸じゃなくて、こんな感じ
の芸能を見事に監督やプロデューサーに成り代わって表現してくれる、指導し
てくれる人材は彼以外いない。

シテ方の能楽師が監修する場合もあるが、あくまでも能楽指導。

また古典の芸能を学問として研究している学者たちは何人もいる。が、彼らに
は、役者たちにポイント・勘所を押さえた演技指導は不可能。自らが演じるこ
とも出来ないということは、説得力不足。

万之丞(耕介)は、狂言師としての蓄積と古典の伎楽・芸能の研究の両面を押
さえていて、実技指導も学問的な説明も一人で解決出来る唯一の人間だった。
想像するに、萬斎では自ら演じることは出来るかもしれないが、多くの役者に
言葉と身体で芸能を指導できまい。

演じる能力と、演じさせる能力は全く別の分野なのだから。

この分野での損失は、狂言界、和泉流の痛手よりも大きいと思う。

☆ ★ ☆

(追記)
このエントリと関係ないTBは申し訳ありませんが、削除させていただきました。
(2004/6/13)

|

« 万之丞(耕介)亡き後 | Main | おもかげの国 うつろいの国 »

Comments

ぶさん、はじめまして。コバヤシ@日々カタログ、です。コメントありがとうございました。えーと、実はぶさんの本家のページを以前に拝見したことがあります。W大のOBの方ではないですか? 実は私はT大OGです。六狂連の会も行けなかったので、万之介先生ともご無沙汰ですが。

本当に万之丞死去は痛い話です。ぶさんのおっしゃるように、狂言自体だけでなくその背景となっていること全てを指導する能力のある人は今のところ誰もいないと思います。今後期待するとしたら和泉ではなく茂山でしょうか。

Posted by: コバヤシ@日々カタログ。 | 2004.06.13 20:16

コバヤシさん、どうも。WのOBです。はい。
松井世代ということは、ゴリとかと重なるのかな?

万之丞を引き継げるような若手は、家の出身者から
はなかなか出てこないかもね。
京都はどうなんだろう。

Posted by: | 2004.06.14 01:12

多分、後輩の誰かにきけば私の正体は自然と知れるかと。
ゴリにおきましては、いいかげん万之介先生のマネージャーにでもなれとお伝え下さい(笑)

Posted by: コバヤシ@日々カタログ。 | 2004.06.15 09:49

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 万之丞(耕介)亡き後の芸能指導:

« 万之丞(耕介)亡き後 | Main | おもかげの国 うつろいの国 »