道具と集中力
川南恵さんのNetwork Unit Duo Columnは、演劇を志す若い人へのメッセージがメ
インの好きなコラムのひとつ。
例えば、若い演劇好きの方には必読の項として、
「あなたは何本見ましたか?」
「ヴィデオで見る芝居について」
「読書のすすめ」
などは、極めて真っ当な意見。僕も日頃から思っていることと同じで、よく言って
くれたと思っている。
また、「演出家の力量」で述べている、明確に言葉で思考しないと相手に伝わらない
という事などは、演劇だけでなく一般生活の中でも言える事。
しかし、「子供と躾と想像力と」の幼児向けの引き綱(ハーネス)については、ちょっ
とがっかり。
ハーネスを着用が事故防止のリスク対策として有効。躾は言葉の聞き分けが出来る頃
合になってからすればとの意見なのですが、ヴィデオは観劇ではないと言い切った論点とは
逆の方向のような気がしたのです。
現状のリスク対策としてはいいのかもしれないが、将来のリスクの対策としては有害
かもしれないんじゃないかと思う。例えば、紙オムツは養育する側にとっては便利だ
が、赤ん坊の不快を感じる機能が低下するとか、オムツがなかなか取れないとか。
同じようにハーネスを着けることによって、保護者の気の緩み、無防備さがが幼児に
伝わるんじゃないかと思うのだが、どうだろう。
言葉の聞き分けが出来なくても、保護者の気というものは伝わっていないのかな。
☆ ★ ☆
便利な道具は、確かに現状の問題やある側面を解決できるんですよね。
だから、頼ってしまいがちになる。
携帯電話の普及で、待合せの時間に対してルーズになってしまうとか。
狂言の稽古でも、テープやMDなどの機器の使用は、先生に対して失礼にあたると思っ
ているが、これも今の稽古に集中した方が身につくという側面がある。実際に学生の頃
は全身を集中して師範稽古に臨んだ。そのお陰で10年ぶりに狂言の稽古に復帰した時
も、昔とったなんとかの様に身体が覚えているんですね。
道具を使うときは、それによって将来どうなるかも頭も隅に置くことも必要かも。
☆ ★ ☆
まぁ、例のドアの事故もあったので、需要はあるんでしょうね。
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