乳すわい乳すわい
奈須与市語の最後で、義経が見事扇を射止めた奈須与市に向かって褒めて言う台詞。「ちちすわ~い」。お母ちゃんのオッパイ吸って来いと言う奴。万作さんが奈須語に触れる時、大抵この「乳吸わい」の話をする。詳しいことは万作さんの著作を読んで貰う事として、関西、特に河内の方は「胸」のことを「ちち」って普通に言うんだよね。胸だけじゃないか。牛乳も乳って言うか。
先週末、山の神が入院中のその河内へ行ってきた。生駒出身の山の神が、「この病院はコテコテの大阪や」と零しておった。医事課のお姉ちゃんが、入院費の説明の後、「寝てるだけの治療で何でそないかかるねんとよう言われる」と一人突っ込みをしていたという話に始まり、看護婦さんは丁寧語で話し掛けた山の神に向かって、関東人向けみたいな受けをしたとか。ここは河内や、丁寧語はナンボのもんじゃい、と言うことなんだろうか。
患者さんもバリバリの関西弁。大声で「ちち」の連呼。産後の搾乳の処置をするのだが、このおばちゃん(と言っても、山の神より年下か?)は「ちちしぼり終わったで」と言う調子。終いには、この姉ちゃん「ちちでかい」と迄も。これはこの患者さんだけじゃないのだな。
そう言えば、私も喫茶店でカフェオレのミルクを多めにすることを「乳大目」と注文してたっけな。
☆ ★ ☆
さて、奈須語の乳吸わいのくだり。関西では若い子には言う習慣が残っていたのかも知れない。20数年前、茨木に下宿していた私も近所の洗濯屋のお婆さんに盆暮れの度に、お母さんの乳吸って来い、乳吸って来いって言われてました。乳じゃなくて、おっぱいだったか。その問い掛けを聞く度に、奈須語のこの台詞を思い出しましたねぇ。今じゃ、反対に10年ほど前に亡くなったこのお婆さんがの声や、壊れたメガネを掛けながら太マジック伝票を書いていた姿を思い出します。その洗濯屋は駐車場になっているんですよねぇ。。。
Comments