万酔会ご来場御礼と重要無毛文化財
昨日、野村万之介師追善第14回万酔会は無事終演いたしました。足元の悪い中、沢山のご来場ありがとうございました。
今回私は14回目にして初めて舞台に出ず、写真パネル等の搬入搬出・見所後方でビデオ係。開場当初のお客さんの出足が悪くどうなることかと心配しましたが、開演時間には梅若能楽学院会館の8割ほどの入りとなり、ホッとしました。もしかしたら、今年が万酔会として最後かもしれないと見納めに来たという狂言研OBOGも居ましたが、来年以降のことはまだ決まっていません。打上では、来年もやろうと言う流れでした。
私は愚息と共演したいので、続けたいと思っています。でも、来年は東阪二重生活なので、分かりません。
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開演前に、写真家の吉越さんと雑談。師範が亡くなっても、結束力があって、ちゃんと会を催す社中は貴重な存在と仰ってました。多くの社中は、師範亡き後、押さえていた会場もさっさと手放して、数ヶ月で雨散霧消することが多いとか。それに今回は、ロビーには亡き師の写真パネルを展示し、遺品のコニャックをお供え。そして、終演後に、亡き師・万之介先生が当時まだ本名の悟郎の若かりし頃のNHKドキュメンタリー「ここに継ぐもの」(1967)を上映。お越しいただいた皆さんと、6世万蔵師に三番叟の稽古をする姿を目に焼き付けました。先生の姿と言うより、昭和の名人・6世万蔵の稽古風景を見ることが出来、幸せな時間でした。万酔会の面々で「生の万蔵」を見た方は数えるほどなんですよね。過去の映像でも、凄いものは凄い。万之介先生は生前、この番組の万蔵師の稽古はTV用に張り切っていて嫌だったと語っていますが、それにしても迫力があって、我々が学生時代に先生から怒鳴られた緊張感を思い出させてくれました。この緊張感が堪らんのですよね。
ちなみに、NHKに現存するフィルムが海外向けの英語版で、本放送よりも短くなったものです。昨日の万酔会でも、英語版をそのまま上映。ナレーションは英語力が足りない私には聞き漏らしたところもあったのですが、万蔵家の会話は日本語のままですから、十分理解できました。
万蔵師が人間国宝を授章した時のコメントするシーンで、「頭がすっかり禿げ上がってしま私が、重要無形文化財(=人間国宝)とは"無毛(ムケー)文化財"」と言うような駄洒落を噛まして、万酔会の会場でも爆笑。「酒をのまんぞう」とかの駄洒落を著作で拝見していましたが、中々気さくな方だったのでしょうか。
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