目黒の舟唄
久々のプロの狂言の会の見所へ。稽古中は万作先生の芸を目の前で拝めるので、それだけでお腹いっぱいという訳ではないのだが、大分足が遠のいてしまったのは確かだ。休日はなるべく倅の相手をしたいし、また見に行くとなれば、子守をしている山ノ神に遠慮というのもある。そのハードルを越えるような番組があるかと言うと、わが師万之介先生をはじめ、私が若いときに見倒した圭五郎師、千作翁、千之丞師、忠三郎師、先代又三郎師がいない舞台は食指が動かない。(見倒したとは言い過ぎかもしれないけど)
それでも、今回の「やるまい会東京公演第30回記念@喜多能楽堂(2014/11/15)」は、野口君大活躍ということと稀曲・唐人子宝が掛かると言うので目黒まで出張ってきた。
午後始めなので、午前に所用のある山ノ神に代わって拙者が子守当番。効率的に倅を楽しませて移動しようと、昼までチビロク号のある世田谷公園に行ってきた。それが誤算の始まりだった。
■今は電動式となっているミニSL・ちびくろ号。
■実寸の1/5とミニ鉄道のなかでは大きめの車体。1回の乗車は中学生以上70円。この日は2回乗った。
■転車台もある。
■静態保存のD51。
ミニSLに乗ったり、静態保存のD51を見ているだけならこちらの体力は消耗しないのだが、D51の隣にある交通広場のゴーカート。これに参戦しないわけにはいかない。3歳の倅は90センチちょっと。まだペダルに足が届かない。当然、全走路は拙者が動力となって走るわけだ。
■初めて乗るゴーカートに興味津々。
初ものには興味津々で、ハンドル捌きが疎かになる。何度も路肩に乗り上げて、行ったり来たり。中腰のまま10分近く駆け回るのは、アラフィフといわれても可笑しくない拙者には堪える。
息も絶え絶えになりながら、渋谷で待合せた山ノ神に倅を託して一路目黒へ。
途中5分で喰える吉野家で昼飯を掻き込んで見所まで。
☆ ★ ☆
当代又三郎師の珍しく短い挨拶をフムフムと思いながら聞いて、初番・文蔵 祝言ノ留を迎え撃った。小三郎さん、大分田舎役者風に(いい意味で)なったなぁと思いながら、見ていたら語りが始まる前辺りから舟を漕いでいたようだ…気が付くと「真田の三郎」が出ているではないか! やらかした。彼から求めた席は正面。後ろの方とは言え、こちらの様子は良く見えるよなぁ。あちゃ~。
続く石神は負けないぞと括目してみる。奥津君、先代にそっくりだなぁと思いながら、ここでもぷかぁ。楽の中盤で復帰する様。舞っている女は野口君なのに …情けない。
唐人子宝は賑やかなだけあって(しかも赤サンゴも出てきて)、沈没はしなかった。
それにしても、今の舞台を見て先代の面影を探すようじゃあかんなぁ。
☆ ★ ☆
(舞台メモ)
狂言「文蔵」祝言ノ留 野口隆行 野村又三郎
狂言「石神」 奥津健太郎 松田高義 野口隆行
素囃子「水波之伝」 成田寛人 船戸昭弘 河村眞之介 加藤洋輝
狂言「唐人子宝」 野村又三郎 井上松次郎 奥津健太郎 伊藤泰 野村信朗 奥津健一郎 井上蒼大 他地謡
☆ ★ ☆
又三郎家は、当代が先代の50歳の子、先代が先々代の55歳の子とのこと。44のうちはまだまだだな。
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