狐塚と鉢叩
第28回万乃会(万酔会)から早十日。社中では、もう来年の番組の打合せが始まっている。
打上の際に、万作師から「来年は万之介の七回忌。追善の意味もあって、鉢叩などがいいのでは」というご提案もあった。鉢叩かぁ。能「輪蔵」の替間で、踊念仏をやる先輩曰く「地味な曲」。確か、万之介先生の初舞台がこの「鉢叩」の子方・瓢の神。追善と言う意味では、良いのかもしれない。
演るとなったら、子方はうちの倅だよなぁ。夏頃から倅には痺の、滑稽なイメージの狂言を演るんだと吹き込んでいたので、この地味な曲はちょっと心配。見たこと無かったので、念のため先日国立能楽堂のアーカイブを確認。
1.子方で面を付けるか否か。(→折角、可愛い時分の顔を披露出来ないのは寂しいからね)
2.倅でも大丈夫そうか。(→型と台詞の問題)
3.初心者でも面白いところがあるか。
この3点を注視してみた。
1は直面で大丈夫そうだ。
2は分からん。舞があるぞ。しっかりとした運足できるかな… 掛け合いがないけど、大丈夫かなぁ… もし、わしがこの曲に出るという前提だと、倅が舞台に出るとき、何も助けてやれることが出来ない。悩む悩む。まぁ、しっかり稽古すれば大丈夫だとは思うけど。
まぁ、そもそも、子方を使うかどうか、万作先生がどう考えているのか分らない。今悩んでも仕方ないな。もし、子方でなければ、痺をお願いしたい。
☆ ★ ☆
さて、今年私の勤めた狐塚。シテを勤めたM先輩が、万作師の舞台を見て、やってみたいという希望の選曲。私自身は和泉流のプロの舞台は見たことがなかった。一通り台詞と立稽古をやって、太郎冠者を主と次郎冠者で投げ飛ばすことを初めて知ったのだ。投げ方も稽古で初めて。ビデオでも見たことのない知らない曲を演るのは、30年やってて初めてかも。
■次郎冠者は途中から。のんびりとした田舎者の雰囲気でやってみました。
■泳ぐように、「どっちじゃ、どっちじゃ」
■青松葉で燻されます。これが重要で、建膝で苦しんでいる中の一服の時です。
■「それにござるは頼うだお方では…」と、ここまで来れば、足の心配はありません。
■「足を持て」「ようござる」と100キロ近い巨漢を持ち上げます。ちなみに主人は五十肩で、悲鳴を上げてます。
■投げ飛ばして、引っ込みます。
今年、残念だったのは、倅が熱発で本番を見ることが出来なかったこと。「わいと言え」や「こんと言え」の部分は、倅は大好き。風呂の度に、「わい、わい」と言わさせられたり、また倅に言わせたり。本当に、この部分をケタケタ笑う。
狂言って、子供の笑いのツボに合ってるんだなぁ。昨年の蝸牛でも、自分自身は面白くない型と思っていた部分(最後にデンデンムシ!と祈り倒す型)を、何度も演ってくれと頼まれて、この部分が面白いのかと新鮮な発見をした。
今度、近所のホールで「蝸牛」と「仁王」を万作の会でやるのだが、<<未就学児はご遠慮願います>>の但し書きが付いている。ああ、モッタイナイ!
☆ ★ ☆
<<未就学児はご遠慮願います>>と言えば、万乃会(万酔会)に来てくれた友人親子がポツリと言ってたんだな。
うちの子供(娘)は古典が大好きなのだが、プロの舞台は未就学児は入場できない。でも、こういう会なら大丈夫なので、連れてきたんだと。
■仮面の忍者 赤影に登場する傀儡甚内の真似。(実物は下)
こんな顔真似した翌日に、熱発したんだよねぇ。
ちなみに、倅は、傀儡甚内と甲賀妖幻斎が怖いようで、金目教篇のDVD見ていると泣きだすんだな。
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