ナラ枯れは黄八丈の危機
8月後半に取った夏休みは初めて八丈島へ渡航だった。今年亡くなった立松和平が「きもの紀行」くらいの知識しかなかったが、この時の目的だった黄八丈関連の見学で、お約束の黄八丈め由工房へ。
我々が工房に入ると、二人の織子さんが電気を消して黙々と黒八丈を織っていた。近づき難かい雰囲気だったが、機織の音がいいんだなぁ。バタンバタンというのが。昭和天皇が御幸した際の写真が飾ってある工房を出て、奥の資料館へ。こちらもいろいろな資料があって興味深かったねぇ。
■黄八丈め由工房の奥の資料館。平成永鑑帳も拝見。
その奥の染場も覗いてみた。
■黄八丈め由工房の奥の染め場。
■黄八丈め由工房の前の広場。染料となるシイの皮を干している。座ってるのは当主。
さて、このシイの皮。スダジイという木が原料で、当主の話では自分の山を持って皮を取っているのだとか。話を伺っている最中に一台のジープが遣って来て、二人の男が下りて当主と挨拶。名刺を覗き見ると東京都の職員さんだった。
ついに八丈にもナラ枯れが確認されてしまったということで、調査に来たようだ。その時は軽く聞いていたのだが、ホテルに戻って地元紙の南海タイムス(2010/8/13)を見ると、大変なことだったようだ。帰京してネットでも見てみると、家族の勝手でしょについて激憤していた農業情報研究所(WAPIC)の方が定期的にウオッチしていた。<全国ナラ枯れ情報>
司馬遼太郎の何の小説か忘れたが、明治の元勲・大久保利通が維新後に泉州高砂の松林を視察した際に、現場の人から昔幕府が予算を取って管理しているが今は予算が無く荒れ放題になったことを知り驚くという挿話を読んだ記憶がある。注意していないと気づかない間に大変なことになってしまう。役人がこうやって調査をしているということは、毎年ちゃんと予算を計上して自然を管理していると言うこと。世の中と言うのは、いろんな仕組みが絡み合って続いているんだねぇ。
☆ ★ ☆
八丈ではこのめ由工房以外にも織元がいろいろある。うちのが織物体験したのは、黄八丈織物協同組合。
■黄八丈会館にて黄八丈織物体験。コースターか花瓶置きの2パターンの織りを体験。うちのは花瓶置き。
織元によって得意な柄があるんだと、実物を見せながら解説をしてもらった。
それにしても、いい着物は高いよねぇ。手も足も出ません。妻よ、すまんのう。
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