もう足を洗ったと思ってた
「もう足を洗ったと思ってた」
知人の出資馬がダービーで惜敗するなどした時に、メッセージを送った時の返事だ。
日頃は馬鹿親の日常を晒していても、性格上、一度趣味にしたものは継続的に情報はチェックしている。
真剣度は下がっているけど。
その中で、先月末のアンカツ引退の報。昨年秋ごろから大レースの馬柱に名前がないなと気になって、もしかしたら大馬主に干されているのかと心配していた矢先だった。
寂しいねぇ。90年代前半から所帯を持つまで、一口馬主に足を踏み入れ、中央も地方も馬を追い掛けていた私。アンカツには笠松で助けてもらったこと多数だし、まだ地方競馬のジョッキーが格下と思われていた中央でも必ず何かやらかしてくれると言う期待感を持たせてくれていた。
あの見事な風車鞭でゴール前を追う姿を拝めないのは悲しい。
競馬のことを知らなくても楽しめる昭和の高度成長期の地方競馬の雰囲気を余すことなく伝えている山口瞳の名著「草競馬流浪記」。ああ、今は絶版になっているのね。この3月に福山も廃止になるそうだが、上ノ山、中津、高崎と櫛の歯が抜けるように草競馬がなくなっていくのだから、この本が絶版になるのも仕方ないか。
閑話休題。本書の最初が笠松競馬場。その中でアンカツが美少年として登場しているんだなぁ。JRAのHPで今日の引退式の姿を見たが、52歳とは思えないけれどもね。
この淀の現場に立ち会ったが、数万の観衆がどよめいて本当に地鳴りがした。
本当に笠松の田舎娘が、エリート候補を薙倒していく行く姿。たまらんかったねぇ。嫌なことがあって気分を無理やり盛り上げたい時に、30代前半まではこのレースのVTRを何度も見たな。
アンカツ自身は、秋のG1の後、人気先行の馬でこの程度の実力でしょと冷たく言い放っていたけど、春先は昔手綱を取っていたオグリローマンが中央に移籍して桜花賞を獲ったのを見て、もしかしたら春先の桜花賞は狙えるかもと思ったのだそうだ。
☆ ★ ☆
一番のめり込んでいた時の役者。この場合は騎手だけど、居なくなってしまうと、楽しみがなくなってしまうねぇ。10年ほど前に亡くなった伯父。開業している医院を歌舞伎座の初日と楽日は必ず休診にするほどの歌舞伎狂いだったが、年を取ってからは歌舞伎座には余り足を運ばなくなった。従姉に聞くと、自分が一番見ていた時の役者と比べると舞台の出来が悪くて、いつも怒っていたそうだ。そんな舞台を見るくらいなら、撮り貯めたVTRを見ることを選んだとか。
伝統芸能だと子役の時から成長過程を見て楽しむというスタイルもある。私は有名になる子の初舞台を見たとか、何とかといもの。でもなぁ、先代と比べてがっかりするという気持ちの方が分かる気がするなぁ。
☆ ★ ☆
アンカツのデビューの地、笠松には良く行ったねぇ。大阪にいた時は車転がして行ったり、ローカル線でも新幹線でも通った。愛馬の勝利もここで拝んだし、パドックが内馬場にあるのもいいし、村祭りみたいな雰囲気もいい。
桜の頃の木曽川べりの桜並木も、馬場横の桜も見事なんだなぁ。
愚息が大きくなったら、笠松には連れて行ってあげたいと思うが、それまで存続しているかねぇ。
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